僕が妻の両親へ初めて挨拶に行った時の話です。
初めてお会いした時、お義父さんはすでに仕事を引退していましたが、名刺を渡してきました。
僕はその時に、ある話を思い出しました。
世代による価値観の違いや考え方が面白いので、ぜひこの記事を読んでみてください。
新しい発見があるかと思います。
妻の両親へ初めての挨拶
結婚する前に妻の両親へ挨拶へ行きました。
向かう新幹線の中で緊張していた記憶があります。
現地に着くと、車で駅に迎えに来てくれました。
そして、車に乗って向かったのが牛すき焼きのお店。
個室でランチをしました。
お店に着いて個室に入るなり、お義父さんが僕のところへ近付いてきて、名刺を渡してきました。
僕はその時、一瞬思考が止まり、
「えっ、名刺交換?仕事じゃないんだけどな…というか、俺名刺持ってきてない。うん?あれ?お義父さん仕事してないって聞いてたような?」
こんな感じで、頭の中が?だらけですね。
とても驚きました。
ご両親への挨拶で名刺交換することを全く想定していなかったことと、お義父さんは10年前に仕事を退職したと聞いていたからです。
驚いちゃいました。
名刺を見てみると
名刺を受け取った時にはビックリして名刺を見ていませんでした。
座ってから落ち着いてから、名刺を見てみるとさらに驚き。
聞きなれない名前の団体と肩書き。
「多分、自治会の名刺かな?自治会って名刺あるんだ。」
と思ったのを覚えています。
そしてその時に、ある話を思い出しました。
ある教授の話
市役所の仕事で自治会に大学の教授を招き、講演会をした時の話を思い出しました。
大学の教授の講演会は8年前の話ですが、今だに覚えている話がありました。
覚えているのは、
- 多くの人は、定年すると自己紹介ができないという話。
- それは、名刺がないから。
- 会社に所属していないと信用されないから、会社の看板を背負って生きてきた。
- 会社に所属していることが、アイデンティティ。
- 定年を迎えて自治会に入ろうと思っても、名刺がないから自己紹介できず、地元に馴染めない人が多い。
- そうやって、定年後に孤独を感じている人がとても多い。
- 自治会は、そんな名刺を持たない人達を暖かく迎えてあげよう。
そんな講演会の内容でした。
僕は、それを聞いた時、「ふーん、そんなもんなのかな」と話半分にしか聞いていませんでした。
ですが、お義父さんに名刺を渡された時に、その講演会の内容がフラッシュバックしました。
「なるほど‼︎あの時の話だ‼︎」
と腹落ちしました。
会社がアイデンティティ
教授の話は、定年を迎えた60代以上の人の話です。
60代以上の人は、「自分のアイデンティティが会社」になっている人が、とても多いんですね。
それだけ、真面目に会社に尽くしてきたんだと思います。
「〇〇と申します」ではなく、「〇〇から来ました〇〇と申します」
そうやって、人生で何回も名乗ってきたんです。
何十年も真面目に働いて、定年を迎える。
定年後に自分に肩書きがないから、自信を持って自己紹介ができないようになってしまった。
なんだか寂しい感じがします。
自己紹介できないことは、いけないことではありません。
ただ、そういう傾向があるから、定年後に孤独を感じている人は多い、ということは覚えておきたいですね。
僕のお義父さんの場合は、アイデンティティが会社から自治会にシフトしたんだと思います。
楽しそうに活動している話を、お義父さんからよく聞きます。
自治会があることで生き生きと過ごせているのは、間違いない。
定年後に楽しく暮らしてるって、素晴らしいことですよね。
自治会が生きがいと言っていいくらいとても楽しそうです。
若者は関係ないのか
僕は若者も関係がある話だと思っています。
〇〇大卒。〇〇業界で働いている。
そういうマウントを取り合っているのを何回も僕は見てきました。
その梯子は、その人たちのアイデンティティになっていますよね。
その梯子にいつまでもしがみついている人は、危険だと思いませんか?
「俺は、東大卒だから」と、50代になっても会社で偉そうにしている人を、僕は見たことがあります。
20年以上働いてきているのに、全く会社の人達と馴染めていませんでした。
いつまでも梯子に執着せずに、自分を大事にできる。自信を持てる。
そんな風にアイデンティティを更新していくことが大事だと僕は思っています。
妻の祖父の場合
ちなみに、妻の祖父の話です。
すでに亡くなっているので、僕はお会いしたことはありませんが、妻から聞きました。
妻の祖父は小学校の校長先生をしていたそうですが、退職してから名刺の校長先生の部分を2重線を引いて、名刺を渡していたそうです。
そこまでして名刺を使っていたという事実。
面白いですよね。
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