公務員って楽な仕事のイメージありますよね?
僕は公務員として9年間働いてきました。
その経験から、確かに楽な部分は多いと感じました。
それでも、大変なことだって多いんですよ。
公務員を辞めてしまいましたが、公務員は良いまちを作っていくために必要な仕事だと感じていました。
僕は、地元の市役所に勤務していたわけではありませんが、勤めているまちが良くなるように仕事がしたいと思っていました。
しかし、その思いが砕かれるようなことがありました。
僕はそのことから、人と人との間に「信頼関係」が大切だなと感じました。
そんなエピソードを紹介したいと思います。
入庁して一年目、会議が終わったあとの話
僕が市役所に入庁して初年度のことです。
市民数人と有識者を全部で20人ほど集めた審議会を毎月開催する仕事を担当しました。
僕が担当するようになって5回目くらいの審議会の時のことです。
5回目にもなると、会議の進行や内容も僕にはなんとなく分かるようになっています。
その会議で、60代の市民の方が市役所に要望を出しました。
ですが、その要望は市役所側で対応が難しいと説明しましたが、市民の方が納得しないような流れで会議は終了しました。
会議の後に、その要望について管理職を含めた市役所の職員数人が要望を言った市民の方に詳細を説明していました。
「こういう事情があるから、それは難しいんです」
そんな風な感じで説明していました。
「お前ら公僕だろ」
職員から説明を聞くと、市民の方が怒った感じでこう言いました。
「お前ら公僕だろ。できないとか言うなよ。土日も出勤してできるまでやれよ。」
凄いことを言いますよね。
僕はこれを言われた時の衝撃を覚えています。
僕が市役所に入って一年目だったということもあり、強烈でした。
「公僕って…そんな言い方あるんだ」
公僕という言葉も初めて知りました。
「もう分かり合えないですよ」
市民の方が帰り、会議室の片付けをしている時に、僕の上司たちが
「今まで、あの方は行政の気持ちを分かってくれている人と思っていました。公僕って言われた時に、凄くあの方と距離を感じました。しもべだと思われていたら、もう分かり合えないですよね。」
と話しているのが聞こえてきました。
まあ、そう思ってしまっても仕方がないような言われ方でした。
僕は市役所に入って、そんな言い方をされるような職業なんだと少し悲しくなりました。
信頼関係を築けなければ良いまちづくりができない
僕が感じたこと。
それは、「市民と職員の間で信頼関係を築くのは難しい」ということです。
そして、「信頼関係を築けなければ良いまちづくりができない」ということです。
それ以降の会議で、その市民の方が発言すると場がピリッとする感じがありました。
他にも、会議の前後で軽い感じで話をかけられても「この人、俺たちのことを公僕って思ってるんでしょ」と考えてしまうので、心を開いて話すことができなくなりました。
心では距離を置いて話す感じになりました。
上司から「あの委員って会議の任期あとどれくらいだっけ?」と聞かれるようにもなりました。
もう僕と上司としては、その市民の方と分かり合おうとすることはありませんでした。
話し合いは信頼関係が何よりも大切
僕はこのことから話し合いの場では、何より信頼関係を意識するようになりました。
信頼関係がなければ、良い話し合いができないからです。
僕は、意見を言う時には絶対に相手を下に見るような発言をしないようにしています。
相手を下にみるような考え方自体もしないようにしています。
話し合いの場を壊したくないからです。
自分と相手が対等な立場で話をする。
対等だからこそ信頼関係ができます。
その信頼関係から、良い意見が出てきて、良い方向に向かっていくと思います。
僕は、市役所でのこのことを忘れずにいたいと思っています。
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